門真市医師会 老化予防の取り組みについて
■目次
1 老化予防・フレイル対策
2 値1000KINプロジェクト
3 結果(論文紹介)

以下、近日掲載予定
4 結果から考えること
5 運動
6 会話
7 お食事
8 認知症
9 認知症の治療
10 これから
 
 
 

1 老化予防・フレイル対策

 誰もが、年齢とともに足腰の筋力が衰え老化現象が現れます。また、こころや認知機能、社会性にも虚弱が現れます。これら虚弱はなんらかの介助がないと生活できない要介護状態の前段階と考えられ、「フレイル」と呼びます。介護予防では重要な新しい概念として注目されています(図1)。「フレイル」の中でも筋肉減少症(=サルコペニア)は、目に見えて気づきやすい変化であり、その予防にはやはり運動が大切です。
新概念フレイルは、

① 健康な状態と要介護状態の中間時期であること
② 回復可能であること
③『身体』『こころ/認知』『社会性』の虚弱を含み多面的であること

上記3つが重要とされています。

 この新概念フレイルに基づいて、今後の健康増進~介護予防施策が求められております。門真市医師会は、今後とも市への施策提言や「医療連携型 運動・スポーツ習慣化促進事業」、フレイル健診などへの協力を継続して参ります。
(図1)健康長寿ネットより引用
https://www.tyojyu.or.jp/net/topics/tokushu/chokoureishakai/chokoureishakai-frailtyyobou.html

2 値1000KINプロジェクト

門真市の医療機関に通院されている40才以上の一般市民1000人を対象に、サルコペニア(筋肉減少)の現状と危険因子を調査した。調査は2017年3月から2018年12月までに、門真市医師会に所属する24医療機関において行われた。

 サルコペニア(筋肉減少)の測定会は、罹患率など現状把握を目的とし、各医療機関においてIn Body430を使用したBIA法による筋肉量測定、握力、4m歩行速度を行った。
 危険因子調査は、年齢、性別、身長、体重、生活習慣病や整形外科疾患の既往歴、直近の血液データ、日常生活状況(買い物に行く回数、1日に何人ぐらいの人と会話するか、自転車に乗っているか、何か運動をしているかなど)、食事内容に関する栄養評価等、多項目を合わせて行った。
 
なお、測定会は関西医科大学健康科学センター、大阪国際大学人間科学部スポーツ行動学科、大阪産業大学スポーツ健康学部のご協力のもとに行われ、各大学の研究施設により解析された。

3 結果(論文紹介)

「値1000KINプロジェクト」の結果、通院者の2割を超える方にサルコペニア(筋肉減少)が認められました。
また、筋肉減少の危険因子(予測因子)は、年齢(75歳以上)、非肥満(肥満ではないこと)、非高血圧(血圧が高くない)、介護認定、毎日の会話人数(5人未満)、栄養失調でした。
このうち、「毎日の会話人数」は、新しい知見です。1日5人以上の方との会話をしようと思うと、家族との会話だけではなかなか達成できないと思います。
そのために、外出して社会との交流、コミュニケーションが鍵となりますが、外出できる体力や認知機能を保つことが重要です。
2020年、新型コロナウイルス禍では、ご高齢者は孤立しやすく、筋肉減少や認知症の悪化が懸念されています。
筋肉減少への対策は、皆様の寝たきり状態を防ぐ大切な行動になります。地域ぐるみで危険因子を理解し、改善して行く必要性があります。

―さらに詳しく知りたい方はこちらをご参考にしてください―
【A】門真サルコペニア研究から
地域の医療機関を訪れた地域在住の高齢者におけるサルコペニアの有病率と危険因子より改変
Scientific Reports (英文)

概略
この研究は、地域の医療機関を訪れる地域在住の高齢者におけるサルコペニアの危険因子を調査することを目的としました。
2017年3月から2018年12月に門真市医師会に所属する24の医療機関で体組成評価を行いました。60歳以上の参加者552例(平均年齢74.6±6.7歳、男性31.3%)のカルテを分析して、筋肉量、握力、歩行速度の測定と生活状況のアンケート調査を行いました。
サルコペニアは、全参加者の22.3%、男性の17.3%、女性の24.5%で検出されました。サルコペニアの有症率は年齢とともに増加しました。
年齢(75歳以上)、非肥満(肥満ではないこと)、非高血圧(血圧が高くない)、介護認定、毎日の会話人数(5人未満)、栄養失調が独立した危険因子、予測因子であることが判りました。
また、毎日の会話人数が、4.8人を下回るとサルコペニアになり易いことがわかりました。サルコペニアの従来の危険因子に加えて、毎日の会話の数は独立した要因でした。

【B】第6回日本サルコペニア・フレイル学会大会2019  抄録
医療機関通院中の地域住民におけるサルコペニア実態調査 -Kadoma Sarcopenia Study- より改変

概略
大阪府門真市医師会は関西医大と連携して、本研究に協力が得られた24医療機関に通院中で20歳以上の1010例を対象として、サルコペニア調査が全て実施できた665例(平均年齢73.0±9.7歳、男性29.6%)を分析しました。

【結果】サルコペニアは103名(15.5%)に認めた。サルコペニア群の年齢とLDLコレステロールは非サルコペニア群よりも有意に高く、BMI、ヘモグロビン、アルブミン、HDLコレステロールが有意に低値を示しました。
また、サルコペニア群の骨粗鬆症、骨折、認知症の既往と手術歴が有意に高く、自転車の利用や1日に会話人数が有意に低値を示しました。
ロジスティック回帰分析の結果、サルコペニアの独立因子として年齢(75歳以上)、非肥満(肥満ではないこと)、認知症、骨折経験、1日の会話人数(5人未満)が抽出されました。
なお、ダイナペニアは117名(17.6%)、プレサルコペニアは96名(14.4%)に認めました。

■老化予防の取り組み(PDF版)

※現在「3 結果(論文紹介)」まで掲載中、印刷などする際にご利用ください。
老化予防の取り組み(PDF版)

■関連リンク集(外部サイト)

・門真市医師会・門真市・関西医科大学が健康づくりの推進において協定(門真市と関西医大と門真市医師会)
 門真市のホームページはこちら
 関西医科大学のホームページはこちら
医療連携型 運動・スポーツ習慣化促進事業(門真市と関西医大と門真市医師会)
フレイルとは | 健康長寿ネット - 公益財団法人 長寿科学振興財団
老化予防と生活習慣
ゆめ伴プロジェクト㏌門真

The Lancet NeurologyVolume 18, Issue 2, February 2019, Pages 177-184
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Articles
Investigation of frailty as a moderator of the relationship between neuropathology and dementia in Alzheimer's disease: a cross-sectional analysis of data from the Rush Memory and Aging Project
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1474442218303715

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